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概要
日本は、2050年までにGHG排出量を80パーセント削減させるという目標を掲げています。本目標を設定した当初の状況と比べて、2011年の福島第一原子力発電所の事故発生後、長期的なエネルギー安定供給体制への見直しが求められています。その結果、日本は、既存のエネルギー需要への対処方法を検討しつつ野心的かつ長期的なGHG削減和目標を掲げるという、大きな課題に直面しています。日本が取り得る手段として、エネルギー需要の削減に注力するべきか、エネルギー供給の低炭素化に努めるべきか、そのためにどのような技術を活用するか、といった様々な選択肢を吟味する必要があります。
日本版2050低炭素ナビは、地球環境戦略研究機関(IGES)及び国立環境研究所(NIES)によって共同開発されました。開発段階では、日本国内の有識者、英国エネルギー・気候変動開発省(DECC)の英国版パスウェイ・カリキュレーター開発チーム、駐日英国大使館、日本の環境省から様々な支援を頂きました。
日本版2050低炭素ナビは、英国版2050パスウェイ・カリキュレーターの分析枠組みを取り入れて構築されています(英国版2050パスウェイ・カリキュレーターの詳細はこちら)。英国版は、DECCが2010年に初版を公開した以降、実用的なツールとして政策決定、学術研究、ビジネス、市民生活、教育の場で活用されており、英国が国内のエネルギー需要を満たしつつ、2050年までにGHG排出量の80パーセント削減という野心的な目標を達成するために、国民が様々な選択肢に関する議論を展開する一助となっています。最近3年間では、中国、韓国、ベルギー・ワロニア地方、台湾、インドなどが、独自の2050パスウェイ・カリキュレーターを開発しています。
低炭素ナビは、長期低炭素社会シナリオを検討するための分析ツールです。利用者は、資源、技術、行動様式の変化を組み合わせて、GHG排出削減量とエネルギー安全保障の両方を達成するシナリオ(排出パスウェイ)を独自に立てることができます。低炭素ナビは透明性及び操作性において優れており、長期的にエネルギー構造をどのように転換し、それがGHG排出量、エネルギー安全保障、発電エネルギーミックス、関連費用にどう影響するかといった根幹となる問いに答えることができます。
低炭素ナビは、2050年の排出削減目標の達成に向けたエネルギー利用の選択に関して、様々な関係者が共通の理解度で議論に参加できるように促します。さらに、大学などの教育の場においては教材として活用が期待され、企業や一般市民との対話にも役立ちます。